レヴィ=ストロース『悲しき熱帯Ⅱ』(中公クラシックス版)

第6部 ボロロ族

21 金とダイヤモンド

ボリビアの入り口、コルンバ(4)。あやふやな国境時代をとどめる建築群(4)。夕方の婚前行列(5)。船でクイアバへ(6)。季節ごとの移動時間の違い (6)。牛飼いの家族、レバノン人の行商人、駐屯兵か地方官吏の乗り合い(8)。川遊びのような旅(8)。サン・ローレンソ川との合流点以北は陸路で (10)。カンポの風景(10)。クイアバに到着(11)。司教館、知事公邸、レバノン人が経営する宿屋、殖民都市の面影、曖昧な大通り(11)。クイア バの起こり、金塊(12)、儀式ばった生活様式、知事との対面(13)。レバノン商人たち(14)。コルシカ生まれのフランス人、過酷なトラックの仕事 (15)。トラックでの移動、カービン銃、故障、命がけの運転手(16)。クイアバを出発、荒野と里の境界、希薄な薔薇色の線、赤い壁を経て大平原へ (18)。大平原の幻惑に満ちた風景、空と大地の転換(20)ガリンポでのダイヤモンド取引、掟、国家内国家、闇取引(21)。金とダイヤの探し屋、言い 伝え(25)。一攫千金の夢、贅沢品の購入、見せ掛けの陽気さ、衰退(25)。移動の記憶、カヌー、最初のボロロ族との邂逅、上陸(28)。

22 善い野蛮人

ボロロ族の村、住居、身なり(33)。ケジャラ村の首長、案内者、住人たちの描写(42)。呪術師の家、寡女、男たちの歌と宗教生活(45)。儀礼の音楽 の多様さ、太鼓言葉(46)。環状の村、家の配置(周辺の「女の家」と中央の「男の家」)と社会組織の関連(47)。続柄の調査、南北に分かれた半族、母 親と同じ半族への所属、他の半族の成員とのみ結婚する、女による家の相続、男の家の緩和作用、その他の半族の役割(50)。東西の分割による四つの分族、 氏族、女系による小さな群れ、階層(52)。氏族同士の関係、貧富、その他の差異(54)。日用品、母から娘に受け継がれる装身具、男たちの頭飾り、男の 家の機能(57)。

23 生者と死者

「唸り菱」と精霊の声、女が恐れる(63)。男の家での儀式、生者と死者(64)。感謝する死者、企む騎士の民話類型、人格と物、移行型はヨーロッパにも ある(67)。ボロロ族、構造としての村、「自然死」の相対化、移行としての死、「ボロロ族の思考が…自然と文化との基本的な対置によって支配されている とするならば、…人間の生は文化の系に属するということになるだろう。自然死だとか反自然死だとかいうことは意味を失ってしまう。事実においても建前とし ても、死は同時に自然であってしかも反文化的である」、死によって社会が毀損される(69)。二重埋葬、人命を奪う自然、魂の自然、物理的宇宙と社会的世 界の媒介としての「バリ」(69)。バリと精霊、生者の死者にたいする負債をバリが取る、守護霊(74)。社会学的世界における死、集合化される魂、「ア ロエトワラアレ」の役割、看護・治療、犠牲(76)。長い葬礼の意味、生者と死者の対立の演劇、男たちの役(79)。チュガレ出身のバリが垂直的秩序、 チュラ出身のアロエトワラアエが水平的秩序をつかさどる、半族の組織自体が自然と社会、歴史を物語る(86)。体系の論理、隠蔽、「或る社会が生者と死者 のあいだの関係について自らのために作る表象は、…生者のあいだで優勢な規定の諸関係を宗教的思考の面で隠蔽し、美化し、正当化する努力に他ならない」 (87)。

第7部 ナンビクワラ族

24 失われた世界

パリ、みやげ物選び、クイアバの向こうへ、未開地帯、簡単な地誌、諸族、ジェ族(92)。北アメリカとの共通性、いつから住人はいたのか不明、失われた文明(100)

25 荒野で

クイアバに、遺物としての電信線、不毛の土地、インディオの襲撃(112)。旅の計画、同行者、牛たち(118)。ロザリオ・オエステの習俗、マト・グ ロッソの逸話、自然の悪意(126)。トンバドール山での野営、乾季、同行者たちの思い出話、動物との戦い、出発(130)。

26 電信線に沿って

未開の土地を横切る電信線、少しずつ存在する人間の痕跡、パレッシ・インディオ、ブラジル人、ダイヤモンドの「足跡」、とり残された人々、ナンビクワラ族 の噂が電信で伝えられる、イエズス会士(135)。ナンビクワラ族の一年、雨季には高地に居住し、栽培を行う、乾季に移動し、狩猟を行う、(141)。ナ ンビクワラ族の貧しさ、アタスー(158)。家族関係、交差いとこ、固有名の禁止、方言、口ごもるような声、早口(162)。

27 家族生活

狩、食事、子ども、薪集め(168)。子どもの少なさ、愛情(170)。遊び、子どもの暮らし、許婚(174)。家畜(176)。大人の暮らし、性愛、夫 婦、男女の別(177)。2極としての男女、農耕と採集、冬と夏、安全・充足と冒険・欠乏、死語の魂(181)。恐怖心、悪評(186)。

28 文字の教訓

人口の急減、人口調査、文字表記(193)。文字とは、階級の出現、近代化、プロレタリアの形成、虚偽(202)。カンポス・ノーヴォス、二つの集団の争い、和解、交易(206)

29 男、女、首長

ヴィリェーナの電信局村、2つのインディオの集団、第一の集団の首長は世俗的、第二は呪術的、共同生活、白人による疫病、人口の減少、新たな通婚の試み、 敵(213)。集団の不安定さ、分散の方法、首長の個性、後継者、特権、義務、正当性(218)。首長の適正、気前の良さ、器用さ、主妻と副妻、「偽りの 恋」、交差いとこ(224)。集団による譲渡としての一夫多妻、象徴ではなく同意、社会契約、「互酬性」、首長と「全体」との契約(230)

第8部 トゥピ=カワイブ族

30 カヌーで

放浪、トレス・ブリティス、バラウン・デ・メルガーソへ、変化する風景、乾性林地帯、ご馳走、河へ、驟雨、エミーディオの物語、ピエンタ・ブエノの電信局 村、カヌーで(240)。民族学者の喜び、無垢な文明、カヌーについて、乾季の終わり、薔薇色の朝靄、休息、猿たち、雨雲、野営(249)。

31 ロビンソン

河、河と植物のせめぎ合い、生命の過剰(258)。インディオの村、村人たち、未発見の「ムンデ族」?、農耕と畜産の混合、小屋、探究(259)。虚し さ、欺き、まなざし(263)。ピメンタ・ブエノ、トゥピ=カワイブ族の諸集団、外婚、約20の氏族、そのいわれ、20世紀に入ってからの変動、人口減 少、未知の一群、新しい旅、ラゲイロ、サペザウ(266)。

32 森で

海、縁飾り、観察と発見、失われつつある浜、「牡牛向きの山」、濃縮された風景、襞、風景との対話、失望、森、濃密な社会、覆い尽くす、アマゾンの森、体系 ※境界、襞、隠蔽(274)。森のなかの移動、インディオとの邂逅、鷲の飼育とその放棄、カスタニャル(285)

33 蟋蟀のいる村

急流、一直線の村、4軒の家、絵、タバコの拒絶、カウィ、栽培、衣装、住居、食物、蟋蟀、事故(290)。

34 ジャピンの笑劇

新しい家族、名の公表、名の意味、名の獲得、氏族の伝統(313)。首長の力、主妻の役割、特異性格、不平等の是正、妻の貸与、兄嫁婚、一妻多夫婚(315)。組織、男系、祭りの主、消滅、憑依、演劇(321)。

35 アマゾニア

ウルパ、雨、高地よりは豊か、感嘆詞、シリア人かレバノン人の行商、医薬品、民間療法、穢れ(328)。アマゾンの人々、夢想、英雄、荒稼ぎ(333)。

36 セリンガの林

ゴムの木、親方の権限、ゴム採取人、アジアとの競合、価格の暴落、運送業者の支配、増える借金、繁栄の記憶、夜会、18世紀(339)

第9部 回帰

37 神にされたアウグストゥス

カンポス・ノーヴォス、困難、民族学、人生の意味、ショパン(352)。「神にされたアウグストゥス」、自然と社会(358)。

38 一杯のラム

民族学者の二つの態度、文明の澱、われわれ、客観性、比較、折衷主義の危険、民族学者は批判者たりえるか、食人、死体解剖、アントロポファジーとアントロペミー、犯罪者の「小児化」、ルソー、社会状態が人間の条件、われわれ自身の社会をよくするために(367)。

39 タクシーラ

カシミール、タクシャシラー、歴史、文明の混合(389)。イスラム文明、洗練の結合、謹厳主義、普遍、不寛容、非信徒の否認(402)。

40 チャウンを訪ねて

イスラムと西洋の類似、イスラム化、寛容の不寛容、仏教、融合、死者、無、恐怖、連続(409)。東洋と西洋、つつしみ、マルクス主義と仏教、意味の不在、人間の不在(417)。