ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』(ちくま学芸文庫)

第5章「知覚にかんするある当惑」

「仮現運動」…光と光の間隔が疎だとパラパラ漫画になり、密だとアニメや映画になる。

「二つの図形の間のほとんどどんな差異もなめらかに解消される」「見かけの変化は、類似を測る正確な道具では全然ない」(p142)

 2つの図形は「ひとつの持続する、場合により運動、増大、縮小あるいはまた別の変化を呈する現象的全体へと結合するのである」(p143)・・・アニメのフラッシュなどのエフェクト

「現実運動の知覚も仮現運動の知覚もともに、まばらな手がかりを補充して生み出されるという点で実によく似ている。にもかかわらず、この二つはやはり非常に異なっている。にもかかわらず、この二つはやはり非常に異なっている」(p150)

「仮現運動や見かけの変化は最初の表示から第二のそれへと進むように見えるけれども、第二の表示が生じると同時にしか、あるいはその後でしか構成されない」「最初の瞬間的表示の知覚は遅らされるとも、保存されるとも、また記憶されるとも考えられる。いずれにせよ私はこの説明を回顧的構成説と呼ぶ」 (pp150-151)

pp145-146の図解

p150の図解

(pp153-154)色はなめらかな変化でない限り、違う色の対象は別々の対象として捉えられる。例:チェス盤の白黒を反転させたら違うチェス盤として捉えられる

〈形について〉

・同じ対象を見ながら視点を移動して視覚における形が変わっても対象は同じものとみなされる。

・時間・空間的空隙は埋められる(p157の図形)(空隙による見えないものを補って同一の対象を想像してしまう)。

〈色について〉

・空の色の変化のように長時間をかけたなめらかな移行を別として、通常の視覚では色の変化は突然かつ大量に起こっている。

・色の空隙は埋められることなく、対象の同一化を妨げない(チェス盤のように異なった色が複雑に塗られていても同じ色同士で同じ対象、違う色は違う対象と しては捉えられない。例:色が交互になっている「一つのチェス盤」として捉えられる)(例:カメラのフラッシュ光による一瞬の色の変化は物が変化したとは 捉えられない)。

「運動の視知覚のあらゆる明確な事例が、事実上色の突然の推移に基づく」(p159)

白い背景を背に黒い正方形が移動しているとき、正方形の輪郭線が白と黒の中間の灰色を経由することなく、黒い正方形はそのままの形で動くように知覚される。つまり、輪郭線は突然の、瞬間的な色の変化によって保たれる。